※SARAH実施に関するアンケート調査のお願い(2020年6月28日-7月中旬)
 調査の目的は,SARAHの報告をする際によくいただく,実施に関する質問についてお答えするため,そしてSARAHの資料改訂のための目安とするためという2点です.対象はPT/ OTなどSARAHの提供を行うセラピストです.

↓アンケ―ト調査のフォームです.所要時間は5-10分です.どうぞよろしくお願いいたします.

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScUntktFIQWyoxCg54eP931tnVC8ucUvf7_WwnTEm1Li1b7wA/viewform?usp=sf_link

 SARAHエクササイズプログラム(以下SARAH)は,オックスフォード大学 S.E. Lamb教授らが開発した,関節リウマチの手の機能と実用性を高める効果が証明されている,作業療法士・理学療法士との 6回の外来訓練(含,初回と最終評価)から成る12週間の治療プログラムです(Lamb SE, Lancet, 2015).

 関節リウマチの方がご自宅で実施できるSARAHのプログラムは,11種目のシンプルな構成です.継続することで,手の器用さ,ピンチ力,日常生活での実用性の向上などの効果が得られます.Lamb氏らが実施したランダム化比較試験では,上記の効果が12週間の介入期間終了後1年にわたり継続したことが証明されました.

  安価で,かつその効果が12ヵ月維持することがイギリスのNICE (National Institute for Health and Care Excellence)ガイドラインで認められた優れたホームエクササイズプログラムです. 英国では理学療法士・作業療法士向けの教育サイト「iSARAH」,患者向けのサイト「mySARAH」の使用が開始されています.

 SARAHは,関節リウマチの方の手の器用さ,実用性,そして力を向上させることが科学的に証明されたハンドエクササイズプログラムです.SARAHマニュアルと9種類の資料が用意されています.本研究会は,原著者グループ(SARAHチーム)の許可を得てすべての資料を邦訳しました.11種目からなるSARAHエクササイズプログラムの負荷や回数調整だけではなく,対象者の目標設定とエクササイズ実施状態の把握が大切です.そして,把握するだけでなく,効果を実感していただくことも継続性(アドヒアランス)を高めるために重要です.RCT報告には記載されていない,しかしSARAH実施に大変重要なSARAHの資料の活用が実践には必須であると言えます.

 資料を読み込むことでSARAHの効果的な実践が可能となりますが,「iSARAH」を受講することで,より詳細な学習が可能です.「iSARAH」は,4つのモジュール(章/単位)で構成されており,SARAHが作られた背景から実践に至るまで,動画も用いつつ具体的に学習できるサイトです.本研究会は,日本人セラピスト(理学療法士・作業療法士)アクセスが可能となるIDの交付許可を得ました.今後,広く受講者の募集を目指しています.

 最後に,SARAH実施に必要となる資料の名称を紹介します.これら資料は,「iSARAH」からダウンロード可能です.なお, 本研究会は,これらSARAHチームが用意したすべての資料を許可を得て邦訳しています.

  1. SARAH患者用エクササイズ冊子(SARAH Exercise booklet for patients)
  2. エクササイズ日記(Exercise Diary)
  3. パーソナルエクササイズガイド(Personal Exercise Guide)
  4. ボルグスケールによる負荷調整用紙(Borg Scale-Load Selection Instructions)
  5. スマートゴールズ:ゴール設定シート(SMART Goals)
  6. 「自信をつける」シート(Building Confidence)
  7. 「障壁(バリア)と促進因子(ファシリテーター)」記入用紙(Barriers and Facilitators Form)
  8. セラピスト用終了インフォメーションシート(Therapist Discharge Pack)
  9. 患者用終了インフォメーションシート(Patient Discharge Pack)

Lamb S, Williamson E, Heine P, Adams J, Dosanjh S, Dritsaki M.  Exercises to improve function of the rheumatoid hand (SARAH): a randomised controlled trial. Lancet.  2015; 385(9966): 421-429.

Srikesavan C, Williamson E, Cranston T, Hunter J, Adams J, Lamb SE. An Online Hand Exercise Intervention for Adults With Rheumatoid Arthritis (mySARAH): Design, Development, and Usability Testing. J Med Internet Res. 2018; 20(6): e10457.

中村めぐみ,谷村浩子.Strengthening and Stretching for Rheumatoid Arthritis of the Hand (SARAH)の日本語訳.JARR. 2018; 32(1): 84-89.

SARAH研究会について

2017年の日本RAのリハビリ研究会(現 日本リウマチリハビリテーション研究会)にて,関節リウマチの手に有用なハンドエクササイズプログラム「SARAH」の邦訳の取り組みがスタートしました.2018年にすべての資料の邦訳が完成,そして2019年より,日本での広い活用を目指して本研究会ができました.

SARAHの邦訳に携わり,原著者であるLamb氏らがRCTで示した効果には,アドヒアランスを高めることが何より大切だと感じました.そして,そのヒントは,Lamb氏らの作成したSARAHに関するマニュアルと10の資料に記載されていました.

SARAHのエクササイズプログラムはシンプルです.それゆえに,効果を出していくためには,実施される関節リウマチの方のエクササイズの継続性を高めることが重要です.SARAHマニュアルと資料を活用することでそれが可能となります.

我々作業療法士・理学療法士が持つ知識と実践力に加えこれら資料を活用することで,関節リウマチの方々の生活を支える手の実用性を高めることができます.この実践方法を共有することが本研究会の目的です.

      2019年5月10日 森ノ宮医療大学講師 作業療法士 中村めぐみ